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「とりあえずアウトバウンド」が失敗する理由|新規開拓は手法選びではなく設計で決まる

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インバウンドだけでは新規が足りない。
そう感じて、アウトバウンドに踏み出した——。

そんな企業が増えています。ところが、いざ始めてみると、思うようにいきません。
こんな状態に心当たりはないでしょうか。

  • リストに当たっても、なかなか会えない
  • 会えても、こちらの話が刺さらない
  • インバウンドと同じような「前向きな商談」が来ると思っていたのに、温度感が低い
  • 受注率が低く、工数ばかりがかかる
  • 成果が出ないまま、「アウトバウンドは効かない」と結論づけてしまった
  • うまくいくかどうかが担当者の熱量任せで、再現性がない

当てはまる項目が多いほど、伸びしろがあります。そして、その原因の多くは「アウトバウンドという手法」そのものではなく、始める前の設計にあります。

はじめに:効かないケースも、正直に書きます

先にお伝えしておきます。私たち自身、アウトバウンドを事業の一つとして手がけています。とはいえ本記事は、「アウトバウンドをやりましょう」とおすすめするためのものではありません。
むしろ、効かない領域や向いていない会社には「無理に選ばない方がいい」とはっきり書きます。事業として向き合っているからこそ見えた、成功と失敗の分かれ目を、できるだけフラットに共有できればと思います。

本記事では、アウトバウンドが効かない領域や、そもそも向いていない会社には「手法として選ばない方がいい」とまで率直に書きます。事業として向き合っているからこそ見えてきた、成功と失敗の分かれ目を、できるだけフラットに共有したいと思います。

この記事でわかること

  • なぜ「とりあえずアウトバウンド」は失敗しやすいのか
  • アウトバウンドとインバウンドで、何を変えなければいけないのか
  • 新規開拓を成り立たせる「4つの設計」と、そもそも選ぶべきでない会社の条件</aside>

失敗は「手法」ではなく「2つの前提のズレ」から始まる

「アウトバウンドは効くのか、効かないのか」——この問い自体が、あまり意味を持ちません。
同じアウトバウンドでも、前提と設計が違えば結果は大きく変わるからです。

うまくいかないケースには、共通する2つの「前提のズレ」があります。

(A) プル型と同じ期待値を持ってしまう

インバウンドや比較サイトは、相手が自分の課題を自覚したうえで問い合わせてくる「プル型」のチャネルです。つまり、温度感の高い商談が、向こうから来ます。

一方、アウトバウンドは、こちらから接点を作りにいく「プッシュ型」です。相手はまだ課題を自覚していないことも多く、温度感が低いのが前提です。

ここで、プル型と同じKPI(すぐ商談化する、確度が高い)を当てはめてしまうと、どうなるでしょうか。「会えない」「刺さらない」という当たり前の現象を見て、「アウトバウンドは効かない」と誤って結論づけてしまいます。問題は手法ではなく、期待値を別物として設計していないことにあります。

そして、温度感が低いところから始まるプッシュ型だからこそ、その初回商談をどう進めるかが受注を大きく左右します。
こちらから接点を作りにいった相手を有効な商談へ変えていく具体的な進め方は、
別記事【初回商談を「有効商談」に変える3つの設計】で詳しく解説しています。


アポは取れているのに受注が増えない理由|初回商談を「有効商談」に変える3つの設計

アポは増えているのに受注が伸びない——原因は「有効商談化(SAL→SQL転換率)」にあります。初回商談を有効商談に変える3つの設計を、明日から自社を測れる指標つきで解説します。

coelu.co.jp

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(B) 目的に合わないターゲットに当てている

もう一つは、そもそも当てる相手を間違えているケースです。これは次の「4つの設計」の一つ目で詳しく扱います。

いずれにせよ、つまずきの原因は手法ではなく、前提(何を期待するか)と設計(誰に・どう当てるか)にあります。

新規開拓を成り立たせる4つの設計

アウトバウンドを成果につなげるために、最低限おさえたい設計は4つです。

① ターゲット(ICP)の設計 = 高LTV層に当てる

ICPとは、自社が狙うべき理想の顧客像のことです。新規開拓では、ここが最も重要になります。

アウトバウンドは、こちらから接点を作りにいくぶん、工数がかかり、受注率もプル型より低くなりやすい手法です。だからこそ、その投資が見合うのは、LTV(顧客生涯価値)の高い層に当てたときだけです。

逆に言えば、LTVの低い層をアウトバウンドで追うのは、かけたコストが受注で得られる価値を上回りやすく、おすすめできません。これは「施策の目的」を取り違えている状態です。アウトバウンドの本来の目的は、プル型では出会えない高LTV層と、こちらから接点を作ることにあります。LTVの低い層や、すでに課題が顕在化している層は、比較サイトや広告といったプル型で効率的に拾うべき領域です。

② チャネルの役割分担

①と関連して、チャネルは「どちらか一方」ではなく、役割を分けて併用するものです。

  • インバウンド(比較サイト・広告)=すでに課題を自覚した顕在層を、効率的に拾う
  • アウトバウンド=まだ動いていない高LTVの潜在層に、こちらから接点を作る

大切なのは、それぞれに別の期待値と役割を持たせることです。同じ物差しで測ろうとすると、①の失敗に戻ってしまいます。

③ 量の前に、質

成果が出ないと、つい「もっと数を打とう」となりがちです。しかし、当てる相手(リスト)の精度と、伝えるメッセージの設計が先です。質の低いリストに量を打つほど、消耗だけが増えていきます。

④ 時間軸と、続ける/やめるの基準

アウトバウンドは温度感が低いところから始まるため、立ち上がりに時間がかかります。短期で成果を求めて早々に撤退すると、本来積み上がるはずだった成果を取り逃します。「どのくらいの期間で、何を見て続けるか・やめるか」を、始める前に決めておくことが必要です。

どこでアウトバウンドが効くのか。そして、選ぶべきでない会社

ここまでを整理すると、アウトバウンドが効く領域がはっきりします。自社にとって適合度が高く(=高LTV)、まだこちらから動けていない潜在層——ここが主戦場です。すでに課題が顕在化している層は、インバウンドで拾えます。

この適合領域を外すと、「会えない」「刺さらない」「受注率も低い」が同時に起きます。

裏を返せば、こうした適合領域を持たない会社は、アウトバウンドを無理に選ぶ必要はありません。たとえば、次のような場合です。

  • LTVや単価が低く、1件あたりにかけられるコストが小さい
  • 顕在層が中心で、比較サイトや広告で十分に新規を拾えている
  • 少人数体制で、立ち上がりまでの工数を割くのが難しい

こうした会社にとっては、「アウトバウンドをやらない」という判断こそが、正しい設計です。手法を増やすことが目的ではありません。

明日からの第一歩

最後に、すぐに着手できることを挙げます。

  1. 期待値を分けて定義する — アウトバウンドに、インバウンドと同じ温度感を期待していないか。別物として、何を期待するかを言葉にする。
  2. ICPを1枚に言語化する — 自社にとっての高LTV層は誰か。業種・規模・課題などで具体的に書き出す。
  3. チャネルの役割を決める — インバウンドで拾う層と、アウトバウンドで取りにいく層を、線引きする。

ここまで決めてから動くと、いきなり架電数を追うよりも、はるかに成果につながりやすくなります。

まとめ

新規開拓は、手法選びではなく設計で決まります。「とりあえずアウトバウンド」がうまくいかないのは、手法が悪いからではなく、期待値と、当てる相手の設計が抜けているからです。

期待値をプル型と分け、狙う相手(高LTV層)を定めてから動く。そして、自社に合わないなら無理に選ばない。この設計があるかないかで、同じアウトバウンドでも結果は変わってきます。





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執筆:呂 逸云(COELU株式会社 執行役員CSO)